更新日:2022/10/29
葵こるです。
新作エロ小説「少女脅迫」執筆中です。
毎週土曜日にファンティアで更新中。
モチベアップになるのでその他の作品も読んでください。
<著作まとめ>
■少女監禁 キモデブおじさんとの暮らし
監禁されたJCが1000発中出しされる話。おっぱい成長します
■短編集
短編20話掲載
■JCパンツになったロリコン教師のボク
モノへの憑依系。プールの水にもなります
<ツイッター>
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少女脅迫 ~毎週キモデブおじさんと~
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■二〇X一年四月二十日 水 ※一
「じゃあねぇ! バイバイ、サエっ!」
「うんっ! また明日ねっ!」
部活の帰り道、いつもの角で友達と別れた。
バレー部の練習はキツいけど、部の友達がいるから毎日楽しい。中二になってクラス替えがあって仲のいい友達と別のクラスになって寂しかったけど、新しい友達もできたし、いい感じのスタート切れたと思う。
バレーの方でもいいことあった。もうちょっと頑張ればレギュラー取れそう! 一年の時はずっと補欠だったけど、二年になってから練習試合でスタメンが増えてきた! 夏の県大会、レギュラーだったらいいな! 背が伸びてきたのがよかったかも。でもまだ160cmだしもうちょっと欲しいな。まだ伸びるかなぁ。
その時、後ろに人の気配を感じた。
「んぐっ!?」
次の瞬間口を塞がれて、意識がスーっとなった。
◆
「ん……」
目を覚ますと、制服のままベッドに横になってた。
「えっ!? なにっ!?」
両手は後ろ手に縛られて、両足も足首のところで縛られてる!
少し離れたところで、気持ち悪いデブのおじさんがニヤニヤしながら私の方を見てる!
「ヒッ!」
心臓が止まりそうになる。体が固まる。
おじさんは大きなカメラを構えた。
――パシャッ!
「イヤァァっ!」
撮られた! 写真撮られた! 怖いっ!
――パシャッ! パシャッ!
続くシャッターの音。フラッシュの光。体を小さくして固まる。
――パシャッ! パシャッ!
音が近づいてくる。顔のすぐ近く! 目を閉じて顔を背ける。
――バサッ!
スカートめくられた! おもいっきりめくられた! 手足動かない!
――パシャッ! パシャッ!
撮られてる……撮られてる……
「……ぃゃ……」
涙が出てきた。怖くて涙が出てきた。
――ズッ……
パンツ!? パンツ脱がされる!
「ィヤッ! やめてっ!」
叫ぶ! 縛られた足をバタバタと動かして抵抗する!
――ズズッ
パンツが下がる! お尻が……! イヤぁぁっ!
――ズッ
暴れても、叫んでも、おじさんは止まらない。
足首を力強く押さえつけられて、パンツが脱がされていく。
もう、ふとももまで……! 前が……見えちゃう!
体をひねってうつぶせになる。前、隠さないと!
――パシャッ! パシャッ!
お尻撮られてる! 何枚も、何枚も……うぅ……
――ガッ
お尻掴まれた!? 引っ張られる!
――パシャッ! パシャッ!
お尻を突き出して土下座のような恰好。また写真撮られてる……
「キャッ! えっ!? あっ! ィ、イヤッ!」
お尻を倒されてひっくり返されそうになる。
表向きに……仰向けにされちゃうっ!
踏ん張って抵抗。でもおじさん、すごい力……男の人ってこんなに力が……
「ふひぃ。み、見えたぁ」
おじさんの声。嬉しそうな声。気持ち悪い声。鳥肌が立つ。
おじさんは私の膝を掴んでぐいっと拡げた。
「イヤァァァァッ!」
動けない。逃げられない。見られてるっ!
――パシャッ! パシャッ!
両膝を割って固定したまま撮影。……絶対……全部……見えてる……うぅ……
「こ、こっち向いて」
顔をひねって背ける。顔が映らないように背ける。せめてもの抵抗。
「しゃ、写真、と、撮ったら、帰っていいから」
えっ!? この人、今、なんて言って……
「……帰って……いいんですか……」
「う、うん。しゃ、写真撮ったら」
「……そっち……向いたら……?」
「う、うん」
「本当に……?」
「う、うん」
「絶対?」
「う、うん」
ゆっくりと顔を向けた。
カメラに向かって顔を向けた。
――パシャッ!
イヤっ! ……怖い……でも終わったら帰れる……
頑張ってカメラの方を向く。
――パシャッ! パシャッ!
スカートを捲られて、パンツを降ろされて、膝を割られて、足元から写真を撮られてる。
顔までしっかり撮られてる。
――パサ
おじさんが私の胸のところに何か置いた。
これ……生徒手帳!
――○○中学二年生 紀邑 咲恵織(さえり)
顔を背ける。
おじさんが私のあごを掴んでまっすぐに向かせた。
――パシャッ! パシャッ!
なんで……なんでこんなするの……
◆
シャッター音がしなくなった。
どれだけ時間が経ったかわからなかった。
おじさんは私の体を起こした。体育座りになった。
目の前には膝まで降ろされたパンツ……両手は後ろで縛られてるから上げられない……小さく丸くなって隠す……もう遅いけど……
「こ、これ。連絡先、登録した」
おじさんは私のケータイを見せた。連絡先に『あ』が登録されていた。
「そそ、それとこれ。ぶ、ブックマーク」
おじさんは目の前で私のケータイを操作する。ブラウザのブックマークに『あ』が登録されていた。
おじさんはそのブックマークをタップした。
真っ黒な背景のシンプルな掲示板のページ……タイトルは『ロリ館』。
スクロールするおじさん。次々に現れる女の子の裸の写真! 顔写真まで! その生々しさに思わず顔を背けた。
「そ、そんなページ見せないで! あとで消すし!」
おじさんはニヤリと笑った。
「こ、これ、見てて」
私は横目でケータイを見た。
おじさんは私にケータイを見せながら自分のケータイを操作してる。
おじさんがページを更新すると、新しい投稿が出てきた。
そこには……その……女の人の……あそこ……の写真が載ってた。
「やめて! 見たくない!」
顔を背ける。
「さ、咲恵織ちゃん」
私の名前! 背中がぞくりとした。
「み、見て」
ちらりと見る。
おじさんは大きなカメラ……さっき私を撮ってたカメラのモニタをこちらに向けた。
そこには……私の……写真が……
えっ!?
「えっ!? ……ええぇぇっ!? な、なにっ!? どういうことっ!?」
カメラのモニタの写真とケータイの画面の写真、同じっ!?
同じあそこの写真っ!?
それって……どういう……!
おじさんがページを更新した。
新しいコメントが十件くらい増えてた。
――神キタ!
――無修正ww
――可愛いお○こやなぁ JK? JC?
――消される前に保存な
――全身キボンヌ
――おっぱいくれ!
――顔くれ
――顔くれ
――顔くれ
「……うそ……うそうそ……!」
心臓が早くなる。じわっと涙出てきた。
なんか……私……終わったかも……
「……うっ……ぐっ……うっ……うわぁぁぁぁんっ!」
大声で泣いた。
◆
「だ、大丈夫、大丈夫」
「うわぁぁぁぁ! なっ、なにがっ、だいじょうぶなのよぉぉぉ!」
「だ、誰か、わからないから」
「うわぁぁぁぁ! いっ、いみがっ、わかんないっ!」
「か、顔も、名前も、出てないから」
「うぐっ! ……でっ、でもっ! ひっくっ! ……でもっ!」
「ま、ま○こだけじゃ、個人特定、できない」
「っっ!」
この人! 卑猥な言葉言った! またボロボロと涙出てきた。
「……ううぅぅ……も、もう……私……ううっ!」
ベッドに顔を埋めて泣いた。
◆
「……ひっく……ひっく……」
しばらく泣いてちょっと落ち着いてきた。
泣きながら考えてた。
おじさんの言葉の意味。
個人特定できない……特定できない……私の……あそこ……だってこと、誰もわからない……ってこと……
ママとか……パパとか……友達とか……先生とか……ご近所さんとか……お店の人とか……
誰も……
「………………」
そっか。私、まだ終わってないんだ。
でも……それでも! 私の……写真がネットにさらされた! もう取り返しがつかない……
ぞくりとした。怖くて震えてきた。鼻水出てきた。
「て、手、外すから、後ろ、向いて」
おじさんが近づいてきた。
おそるおそる後ろを向く。ブチッと音がして手が自由になった。すぐにスカートを直してパンツを上げた。
そして、自分の体を抱きしめた……体、まだ震えてる……
「あ、足も、外す。で、でも、その前に、これ」
おじさんから私のケータイを受け取った。
時間を見ると友達と別れてから一時間も経ってた! 早く帰らなくちゃ……でももしかしたらママが探してくれてるかも……
ケータイのいつものアプリを起動してみる。特に何も変わってない。未読は全部そのままだし、ヘンな投稿とか連絡とかもされて無さそう。変わってたのは『あ』という連絡先とブックマークが増えてるだけ……
「だ、誰かに言ったら、写真、全部出すから」
体が固まる。思考が止まる。声が出ない。震えながらうなずいた。
おじさんは自分のケータイを操作して……私のケータイがポンっと鳴った。ビクッと体が跳ねる。
開くとおじさんから『投稿』というメッセージが来てた。
「しゃ、写真、投稿した。確認、して」
体が……崩れ落ちる……また涙がぽろぽろ出てきた……絶望……きっとこういうのを絶望って言うんだ……
震える手でブックマークを開く……新しい写真……さっきと似た写真……明るさとか角度とかがちょっとだけ違う写真……たくさんのコメント……卑猥なコメント……私の……写真へのコメント……
「れ、連絡の履歴、削除して。送信も、受信も、か、必ず削除すること」
泣きながら履歴を削除した。
「も、もう遅いから、帰って、いいよ」
おじさんが足のロープを切ってくれた。
「ま、また来週、ここに、来て。そ、それと、何日の何時に来るか、決まったら、れ、連絡ちょうだい」
おじさんが私のリュックを持ってきてくれた。
おじさんが玄関まで見送ってくれた。
おじさんに頭を下げると、ふらふらしながら家の方に向かった。
◆
「……ただいま……」
「さぁえぇっ! ちょっと遅いんじゃないのっ! 友達もいいけど、早く帰らないと心配するでしょ!」
「……うん……ごめん……」
「ん? さえちゃん、なんかあった?」
「んーん。ちょっと友達と……エヘヘ」
「……そっか。じゃ、お風呂入ってきなさい」
「うん」
二階の自分の部屋に戻った。
扉を閉めると、また涙が出てきた。
「……ママ……」
心が沈んだ。
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■二〇X一年四月二十一日 木
朝起きるとぼーっとしてた。
昨日のことが嘘なのか本当なのかぼんやりしてた。
ケータイを見ると『あ』が登録されてて、昨日のこと思い出して、震えて、泣きそうになった。
ちょっとだけ……ちょっとだけ救いだったのは、おじさんから連絡入ってなかったこと。……ブックマークは怖くて開いてない。
「行ってきまぁーす」
朝食食べて着替えて家を出る。部活の朝練。
学校の門のところで部の友達と会った。
「おはよーサエ!」
「おはよー」
「おお? なんか元気ないじゃん!」
「うん……実は……」
「実は?」
「あのね……からのぉ……コチョコチョコチョ!」
「キャハハっ! や、やめてっ! サエっ! ま、まいったって!」
「ニヒヒっ!」
言えない。無理。
バレちゃダメ。いつも通りにしなくちゃ。
気持ちを奮い立たせて、いつも通りの激しい朝練に打ち込んだ。
◆
朝練が終わって教室。
友達の輪の中でワイワイと楽しいひと時。
大事なもの。大事な時間。
絶対、絶対、壊したくない。
◆
放課後、部活。
「次っ! 紀邑っ! いくぞっ!」
「はいっ! お願いしますっ!」
集中! 集中!
今週末の練習試合でまたスタメン取りたい!
小学校からバレーやってきて、今が一番楽しい!
だって、二年生でスタメンは私だけ。
すっごく成果が出てるのわかるし、自分でも伸びてるのわかる。
もっと頑張ってレギュラー取りたい!
二年生でレギュラー取りたい!
「よしっ! いいぞ、紀邑っ!」
「はいっ! ありがとうございますっ!」
集中! 集中!
◆
夜、ベッドの中。あとは寝るだけ。
「はぁ……疲れたぁ……気持ちいい……」
目を閉じて練習のことを思い出す。出来てること、出来てないこと。イメージトレーニング。
明日は試合のスタメン発表……名前、呼ばれたらいいな……ううん、きっと呼ばれる!
「んしょ」
ケータイを手に取る。未読はゼロ。んー、寝ようかな。
「………………」
おそるおそる、ブックマーク『あ』をタップ。
「うわ……」
卑猥で気持ち悪いコメントがたくさん……写真の投稿はない……
あまり読まずにスクロールしていくと……あった……私の写真……
薄目で見つめる……じっと見つめる……
「……こんななんだ……」
自分の……なんてちゃんと見たことない。
写真を拡大してみる。
「………………」
食い入るように見る。
誰かが『可愛い』って書いてた……これが? こんな……ヘンなのが……?
さらに拡大……
「……これ……きたな……い……かもぉ……」
なんか……その……隙間のところ……白いカスみたいなモノが付いてる……!
イヤぁぁ! なにこれぇ!? なんでぇぇっ!? 毎日洗ってるのにぃぃ!
思わず手で押さえる。
今日もちゃんと洗った。
大丈夫……だよね……
「……ヤッ! もう寝るっ!」
バサッと布団をかぶった。
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■二〇X一年四月二十二日 金
放課後。
「集合っ! 明日のスタメン発表するぞ!」
緊張っ!
「……ライト、紀邑っ!」
よしっ!
「サエ、やったじゃんっ! またスタメン!」
「うん、ありがとう! 頑張るね!」
「そこ! うるさいぞっ!」
「……スミマセン……」
怒られた。しゅんと小さくなる。
「それと紀邑。今日のプレーはちょっとこじんまりしてたぞ」
「え! そ、そうですか?」
「ああ。勢いが足らないというか、いつものダイナミックさが出てなかったぞ」
「は、はい! 気を付けます! ありがとうございました!」
……心当たりある……
……今日は、その……足を……ガバッと開くのにちょっと抵抗が……
あー、もう! もっと集中しなくちゃ!
集中! 集中!
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■二〇X一年四月二十三日 土
練習試合の日!
「よろしくお願いしまぁーす!」
練習相手の学校の体育館。うちの学校より広くてきれい! 部員も多いし、さすが強豪校!
試合前練習見てても動きが違う……ちょっと緊張……
だけどせっかくのスタメン。強いチーム相手に自分がどこまでやれるのか試す! 頑張る!
◆
「ありがとうございましたぁー!」
負けた……完敗……強い……
「やっぱりすごかったね」
「先輩! はい、すごかったです……サーブ正確だし、アタック強いし、めちゃ拾うし……なんか格差感じました」
「でも相手、最初からAチームだったよ! 去年はBしか出てこなかったもん。うちのチームも強くなってるよ!」
「はい!」
「それに、サエもすごかったよ! ブロック何本も決めてたし! 相手のエース止めてたし!」
「はい! 決まった時気持ちよかったです!」
「サエ、最近すごく上手くなったよね。すごい! ずっと努力してるもんね!」
「はい! もっと頑張ります!」
負けると悔しいけど、強いチームとの試合は楽しかった。
もっとやる気出てきた。もっと練習して上手になりたい!
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■二〇X一年四月二十四日 日
今日も部活。土日も休みなし。
練習厳しくて、せっかく入った一年生も二人辞めちゃった……
私も中学入ったばかりの頃はよく泣いてたなぁ。
根っからの負けず嫌いでここまで頑張れた気がする。
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■二〇X一年四月二十五日 月
今日もクタクタになるまで練習。
毎日大変だけど、充実感!
「じゃあねぇ! バイバイ、サエっ!」
「うんっ! また明日ねっ!」
友達と角で別れる。
胸がキュッと苦しくなる。
あのことがあってから明日で一週間……
おじさんからの連絡はない。写真も投稿されてない。
キョロキョロと周りに気を付けながら小走りで帰る。
どうしよう……
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■二〇X一年四月二十六日 火
朝起きて、朝練行って、授業があって、友達と遊んで、放課後は部活。
いつもと同じ。
結局、一週間何も起こらなかった。
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■二〇X一年四月二十七日 水
今日も同じ。
何も起こらない。
部活の帰り道、ビクビクしながら走って帰る。
先週このへんで……
忘れようとしてた記憶が頭に浮かんでくる。
怖い……怖い……
部活の疲れも忘れて、全速力で駆け抜けた。
◆
パジャマに着替えてベッドで横になる。
ドキドキモヤモヤした気持ちを落ち着かせる。
忘れて……思い出さないように……楽しいこと……楽しいことだけ考えて……
――ポォンッ
ケータイが鳴った!
心臓が飛び出そうになる。
ケータイを見る。
おじさんからのメッセージ。『投稿』というメッセージ。
「……ハァ……ハァ……!」
ブックマークを開く。
写真! 新しい写真!
女の人の……私のあそこの写真!
この前の写真よりもちょっと引いた写真!
ふとももの内側……それと……毛が映ってる……!
「イヤァァァッ!」
ふとももの付け根のところに三つのホクロ。
三角形に並んだホクロ。
知ってる! ママは知ってる! このホクロのこと知ってる!
「ああ……っ!」
ページを更新するとたくさんのコメント。気持ち悪いコメント。
コメントの途中でまた新しい写真!
私の写真!
角度違いの私の写真!
何十秒おきごとに私の写真が!
ダメ! おじさん、ダメ!
それ以上はダメ! ダメ! ダメ!
おじさん! おじさん! おじさん!
――ごめんなさい! あしたのゆうがたいきます!
おじさんにメッセージ!
写真の投稿が止まった。
しばらくして、おじさんから『OK!』のスタンプ。ヘンなイラストのスタンプ。
泣きながら全部削除した。
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■二〇X一年四月二十八日 木
部活が終わって、
「今日用事あるし先帰るね!」
「わかった! バイバイっ!」
「うんっ! また明日ねっ!」
走る。
急ぐ。
おじさんのとこへ……!
おじさんの家。一戸建ての家。裏口に回る。この前も裏口だったから。
「……ハァハァ……」
息を整えて呼び鈴ボタンを押す。
チャイムの音。家の中の足音。心臓が飛び出そう。
そして、ドアが開いた。
「い、いらっしゃい。入って」
中に入った。
◆
なんとなく見覚えのある部屋。意外と片付いた部屋。
「す、座って」
おじさんはベッドを指差した。ちらりと見て体がブルッと震えた。
私は部屋の入口で止まった。
「も……もうやめてください……」
やっと声が出た。声は震えてた。
「写真……あの写真……ネットに流れて……ママに……」
「ま、ママに、バレた?」
「バレてません!」
「よ、よかったね。ま、まあ、わかるわけない。あれだけじゃ」
「で、でも! ママが見たら絶対……」
「わ、わからないね、と、言うより、信じない」
ハッとした。
そっか……そうかも。
もし……もしどこかであの写真をママが見たとしても、あれだけじゃ私だと……信じないか。
「でも……もう……許してください……写真、消してください……お願いします……」
頭を下げた。ぐぅっと深く。
少し体を起こしておじさんを見た。おじさんと目が合った。
おじさんは私の目を見ながら、ゆっくりと首を横に振った。
「け……警察……言います……」
勇気を振り絞って言った。ドアの方に一歩下がった。
「い、いいよ、別に」
「えっ」
聞き間違い?
「べ、別に、捕まるだけだし。さ、咲恵織ちゃんは、人生、終わるけどね。ふはっ」
力が抜けた。
その場にペタンと座りこんだ。
終わってるってわかった。
涙は出なかった。
「そ、そこじゃなくて、ベッドに、座って」
その場から動かなかった。動けなかった。
「……私は……」
顔を上げた。
「……どう……なるんですか……」
のどがカラカラだった。
「ど、どうなるって、まあ、んー、す、すごいバレー選手に、なるよ、きっと」
……イラっとした。
「そうじゃなくて! おじさん、私をどうするの!」
強めの口調。
「あ、ああ。と、とりあえず、毎週、ここに来て」
「……毎週?」
「そ、そう、毎週。ま、毎週、二時間」
「……二時間?」
「うん、二時間」
「……毎週、二時間?」
「ま、毎週、二時間」
「……今日も?」
「き、今日も」
どういうこと?
「……二時間も……なにするの?」
「きょ、今日は、身体測定」
「……はぁ?」
意味がわかんない。
「……よくわかんないけど……毎週二時間とか無理だよ。だって学校あるし部活あるし」
「そ、そっか。じゃあ、終わり、ということ――」
「ま、待って! ちょっと待って待って!」
頭がおかしくなりそう。顔が火照る。両手で扇いで冷やす。二時間……毎週二時間……
「おじさん」
「う、うん」
「それって、土日でもいい?」
「う、うん」
「毎週、ここに来ればいいの?」
「に、二時間」
「二時間」
「う、うん」
「それで、写真は出さない?」
「う、うん」
「絶対?」
「う、うん」
「絶対?」
「ぜ、絶対」
「絶対?」
「ぜ、絶対」
おじさんと話しながら、毎週二時間どうやって空けるか考えてた。
◆
「わかった。なんとかする」
正直イヤだし怖い。だけど頭の中で「たった二時間」のフレーズが響いてる。
「じゃ、じゃあ、服脱いで」
「え!」
やっぱり無理! こんなキモデブおじさんと二時間とかありえない!
「イヤ!」
「…………」
おじさんは黙って私のことを見てる。
特に何をするでもなく、じっと私を見てる。
逃げたい!
いつでも逃げられる。そこのドアから出ていくだけ。
だけど……どこにも逃げられない。
おじさんが待ってる。
私は……もう終わってる。
おじさんが待ってる。
私は……私は……
「…………」
立ち上がる。
ベッドのそばへ行く。
リュックを置く。
スカーフを外す。
「ふほぉ!」
おじさんはカメラを構えた。
――パシャッ! パシャッ!
顔を背ける。
顔を背けたままベッドの上にスカーフを置く。
上着のボタンを外す。
緩んだ上着を脱ぐ。
ずっと写真を撮られてる……
しわにならないようにベッドの上に置く。
スカートのホックを外す。
ファスナーを降ろす。
足を片方ずつ上げてスカートを抜き取る。
しわにならないようにベッドの上に置く。
「……まだ……脱ぐの……?」
かろうじてキャミと黒パンで下着が隠れてるけど、
こんなおじさんの前で下着姿に……
恥ずかしい……
恥ずかしくて泣きそう……唇をキュッと噛む。
「ぬ、脱いで!」
興奮気味のおじさん。
ゆっくりと靴下を脱ぐ。ちょっとだけ時間稼ぎ。
それから……覚悟を決めて……
キャミを脱いで……
黒パンを脱いだ。
「うほほぉ!」
パンツとブラ。
パンツはグレー。
ブラもグレーでスポブラ。
見られたくなくて、腕をもじもじと交差させる。
「ま、回って! ゆっくり、一周、回って!」
「……うそ……」
泣きそう。
言われたとおり、ゆっくりと回る。
見られてる……ものすごい勢いで撮られてる……
前、横、後ろ……またいろんな角度から撮られてる……
手をどこにやったらいいのかわからない。
「か、可愛い! す、スタイルいい! さ、さすが、咲恵織ちゃんっ!」
「……なにがさすがよ……」
カーっと顔が熱くなる。
「ぬ、脱いで!」
「……ええ……」
「は、早くっ!」
「……でも……」
おじさんを見る。
カメラを構えてる。
これって……脱がないと絶対終わらないパターンだ……
わかってたけど……
どうしよう……どうしよう……
「……ハァ……」
あきらめてスポブラを脱いだ。
「お、おほぉ!」
すごい数のシャッター音。
おじさんが近づいてくる。
すぐ近くで撮影。
ちょっとクサい。
「もう! 撮りすぎっ!」
ちょっとキレ気味に、パンツを脱ぐ。
「…………」
何も言わずに撮り続けるおじさん。
すごく頑張って脱いだのに、歓声もなし。
先週撮ったから興味ないってこと?
勝手にネットにさらしといてなんなのよ!
「さ、さすが! ば、抜群のスタイル!」
また言ってる!
「ま、回って! ゆっくり! 気をつけして!」
「き、気をつけっ!? なにそれぇぇ!」
前を隠してた手をおそるおそる外す。
おじさんは私の手を集中的に撮ってる。
手……じゃなくて……隠してたあそこ……撮ってる。
情けない気持ちで、撮られながら気をつけの姿勢になった。
そして、ゆっくり回る。
さっきと同じように回る。
胸も、お尻も、あそこも、
全部全部さらけ出して回る。
「は、はぁぁぁ! さ、咲恵織ちゃん、最高っ!」
「…………」
しゃべりたくない。
◆
「ちょ、ちょっと待って」
おじさんは私を残して向こうへ行った。
私はベッドに座ってキャミで体を隠した。
おじさんが戻ってきた。
大きな機械を転がしながら戻ってきた。
「し、身長と、体重、測ろう」
それは身長を測る機械。
体重も一緒に測れる機械だった。
「……イヤ。測りたくない。知りたいんだったら教えるよ……」
キャミの中で小さくなる。
「だ、だめ。測らないと、意味ない」
がっくりとうなだれる。
やらないとダメなんだ……
「……じゃあ服着ていい?」
「だ、だめ」
「着てもいいじゃん!」
「だ、だめ」
ため息を吐いてベッドから立つ。
キャミも……仕方なくベッドに戻す。
測定機のそばに立ってるおじさんのところへ行く。
裸のまま測定機の上に乗る。
「せ、背中付けて」
「……いやぁぁだぁぁ……」
測定機の棒に背を付ける。
胸を隠してた両手を降ろして気をつけの姿勢。
おじさんが測定機を動かして頭のてっぺんにくっつける。
足元には体重も表示されてる。
すぐ近くにおじさん。
おじさん……背高い……
私よりも高い……
太ってるし、すごい威圧感……
「は、はいっ! そのまま! う、動かないで!」
おじさんは離れて、また写真を撮り始めた。
イヤっ! 動きたい! 逃げたい!
でも動くなと言われたから。
震えながら背中を付けてじっと耐える。
「よ、よし! ――身長160cm、体重52kg」
「言わないでよ!」
思わず声が出た。
「つ、次。スリーサイズ」
「ええっ!? ウソでしょっ!? 測るのっ!?」
おじさんは机からメジャーを持ってきた。
◆
「りょ、両手、横に上げて」
信じられない。
この人、何してんの?
女の子裸にするだけじゃなくて、スリーサイズ測るとか、
絶対頭おかしい!
「は、早く」
おじさんが待ってる。
「……ハァ……」
あきらめの境地。
両手を水平まで上げた。
おじさんが近づいてくる。
のっし、のっしとと大きな怪獣みたいに。
すごい圧迫感……
怖い……
おじさんが両手を広げた。
ビクッと体がすくむ。
片手にメジャーをぶらぶらさせながら、私に抱き着いてきた!
「ヒッ!」
声が出る!
おじさんの顔、私の胸の目の前!
ブラも何も着けてない丸出しの胸!
部活で汗いっぱいかいたし臭うかも!
ああ! おじさんの息が! 胸に!
「ひゃうっ!」
おじさんの手が背中に触れた!
ごそごそとメジャーを調整してる!
近い! おじさん近い!
「ひぃゃぁぁぁ!」
背中に当てたメジャーをツーっと脇の下へと回す!
くすぐったい! 恥ずかしい! 怖い! 逃げたい!
メジャーは脇の下を通って前に!
胸の……ふくらみのところに触れた!
「やっぱりダメ! イヤッ!」
両腕をギュッと閉じて脇を閉じる。胸を隠す。
こんなの耐えられない。
――グイッ
おじさんが私の両手を掴んだ!
黙って広げる!
元の水平の位置まで強引に開いていく!
すごく、すごく強い力!
「うう……」
ダメ……
拒否できない……
このまま……
このまま言いなりになるしか……
おじさんは胸のサイズ計測を再開。
もう一度背中からメジャーを回して胸の横まで持ってきて、
慎重に……気持ち悪いくらい慎重に……
胸の一番高いところまでメジャーを引っ張っていく……
「んっ!」
トップの位置でメジャーを交差させる。
微調整……ニヤニヤしながら微調整……見てられなくて横を向く。
おじさんの指が胸に当たってる……
時々……乳首にも当たる……わざとな気がする……
「と、トップ、78!」
ぞわっとした。
そのままメジャーをスライドさせて、今度は……
「あ、アンダー、64! び、Bカップ!」
「言うなぁっ!」
なんで大声で言うのよ!
小さいから気にしてるのに!
大体なんでカップ即答できるのよ!
なんなのよ、このおじさん!
さらにメジャーを下へスライド。手つきが……慣れてる気がする。
おじさんの顔の位置も……だんだんと下へ……
胸もイヤだけど……下も……パンツ履いてないし……
もじもじと体を動かすけど……動いちゃダメだし……
「う、ウエスト、59!」
おじさんの顔がさらに下がる!
み、見えちゃう! 見られちゃう!
もういっぱい見られてるけど……でも! でも!
「イヤっ!」
手で隠す! 前を隠す!
おじさんにグイっと引きはがされる!
そして……
ガシッと腰を掴まれた!
「キャァァ!」
腰を掴んでまっすぐに立たせられた!
すごい力!
やっぱり、おじさんの力には勝てない!
男の人の力には勝てない!
「ひ、ヒップ、80!」
測られた……
スリーサイズ、全部バレた……
もうイヤ……
なんか……すごくみじめ……
「お、おっぱい、大きくしようか」
「え、ええっ!? キャッ! イヤッ!」
おじさんがいきなり胸触った!
というより掴んでる!
両手で掴んでる!
モミモミと揉んでる!
「ヤっ! やめてっ! なっ、なにやってんのよっ!」
「お、おっぱい! おっぱい!」
揉んでる!
ずっと揉んでる!
おじさんの手、引きはがそうとしても取れない!
逃げるにも測定機に押し込まれて動けない!
「い……いやぁぁぁ……!」
「び、Bカップ! Bカップ!」
おじさんの顔近い!
――ペロ
「――っ!」
舐められた!
乳首舐められた!
揉まれながら舐められた!
あまりのことで声が出ない!
「お、おっぱい! おっぱい!」
ふにふにと揉んだり、
ぐにゅぐにゅと揉んだり、
ちろちろと舐められたり、
ちゅうっと吸われたり、
「――んっ!」
好き放題。
好き勝手。
もてあそばれてる。
私の胸が、こんなおじさんに。
「キャッ!?!」
急に体を回された!
後ろ向きにされた!
脇の下からおじさんの手!
後ろから両胸を掴まれた!
「――くっ!」
おじさんの手を掴む!
引きはがしたい!
でも全然ダメ! 好き勝手される!
私だってバレーやってて力ある方なのに!
そのまま長時間、
後ろから揉まれ続けて、
ちょっと胸痛くなってきて、
ちょっと赤くなってきて、
「もう……やめて……」
涙、出てきた。
「あ……」
おじさんの手が離れた。
胸から離れた。
解放された。
ホッとした。
「お、おしりっ!」
「ヒッ!? う、うそぉっ!?」
お尻!
おじさんが私のお尻に!
顔!
顔突っ込んできた!
「むほぉ! もふもふぅ!」
「やめてっ! 汚いからっ! お願いっ! ホントにやめてっ!」
ぐりぐりと顔を動かしてる!
なにこれぇ! なにが起きてるの!
な、なんか! お尻のとこで……息吸ってる!? ニオイ嗅いでる!?
イヤァァァ!
絶対クサいよぉ! 部活あとだし! お風呂入ってないし!
「だめ……」
おじさんを叩く。
ポカポカと頭を叩く。
でもやめてくれない。
もっと深くに入ってきてる!
おじさんの息で熱い……
漏れた息がふとももとか
前の方までかかって……生温かい……
気持ち悪い……気持ち悪い……
「ぐほぉっ……ぐほぉっ!」
ヘンな声を出すおじさん。
ぐりぐりと動くおじさん。
「……やめて……」
涙出る。
足が震える。
膝から崩れそうになる。
おじさんに無理やり立たされる。
私、なんでこんなことになってるの?
◆
お尻にはまだおじさん。
唇を噛んで耐える。
測定機に掴まりながら部屋を見渡す。
壁時計に目が止まる。
「……おじさん……私、そろそろ帰りたい……」
「んごっ!?」
お尻の中で返事をするおじさん。
体全体に響いてぞくっとする。
そして、やっと離れてくれた。
「ま、まだ二時間、経ってない」
「……それは……さっき聞いた話だもん……今日は二時間なんか無理よ……」
「ふむ。そ、そうだね。今日は、ここまでにしよう」
「えっ!」
帰れる!
そろりとおじさんから離れて……ベッドに移動。
パンツを取って履く。
「……え?」
じゅわっとした感触。
染み込む感触。
おしっこちゃんと拭けてなかったときのあの感触。
なに? なんで濡れてるの? おしっこ? おりもの? ううん、そんな感触じゃない……
ちょっと混乱しながらブラを着ける。
とにかく今は早く全部着なくちゃ!
「こ、これ」
制服を着終わった時、おじさんが手を指し出した。
手の中には錠剤のシートがあった。
「……なにこれ?」
「あ、明日から、毎朝一錠ずつ飲んで」
「イヤ! いらない! 飲みたくない!」
恐怖しかなかった。
「だ、大丈夫。体には全然悪くないし、ドーピングにもならないから」
「いらない! いらないよ!」
耳をふさぐ。
「か、かばんに入れておくから」
「イヤっ! いらない!」
もう聞きたくない。
「もう帰っていいっ!?」
「あ、うん。来週――」
「また来週来るから! 連絡するから!」
ベッドから立ち上がるとリュックを掴んで出口に走った。
こんなところ居たくないっ!
家に帰るっ!
――ガチャッ!
靴をつっかけて外に出る。
もどかしく靴を履きながら走って帰った。
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■二〇X一年四月二十九日 金
朝。
起きて、顔洗って、制服に着替えて、
「……」
おじさんから貰った錠剤を見つめた。
「……はぁ……」
どうしよう……
◆
昨日、帰ってからめちゃくちゃ体洗った。
気持ち悪い……気持ち悪い……
ママともパパとも普通に会話。
だって、心配かけちゃダメだから。
寝る前、リュックから錠剤を取り出す。
ケータイで調べてみる。
「……」
ピル。
避妊薬。
毎日服用。
効果が出るのは一週間後。
これってつまり……
来週は……来週から……
悪寒が走る。
震えが止まらない。
涙が出る。
泣かないと耐えられなかった。
薬をリュックに戻す。
ふとんの中に潜り込む。
小さくうずくまる。
そのまま寝るまで泣いてた。
◆
寝て起きてちょっとだけ冷静になって錠剤を見つめる。
頭の中でいろんな私が戦ってた。
――いらない! 捨てる!
――わかる! でも捨てちゃダメな気がする
――来週もおじさんのところへ行くんでしょ? だったらやっぱり…
――イヤよっ! だって薬飲むってことは認めることになるじゃない!
――認めるってなにを?
――それは……
――エッチでしょ?
――言うなぁ!
――昨日もあんなことされたし、来週はエッチしかないよね
――言うなぁ!
――いっそおじさんから逃げたら?
――写真ネットに流されて人生終わっちゃう……
――写真流されるのとエッチされるの、どっちがイヤ?
――どっちもイヤ!
――それナシ! どっちかって言ったら?
――それは……
――よく考えたらさ、一週間前に薬くれたのって親切じゃない?
――はあ? なにそれ? アイツ普通に犯罪者でしょ!
――はい落ち着いて。薬って体に悪いわけじゃないよね
――ネット見たら体への影響はほとんどないし、ドーピングにも引っかからないって
――それおじさんも言ってた
――キモっ!
――あと生理軽くなるって。ちょっといいかも
――全然良くないし!
――避妊効果出るまで一週間はかかるわけでしょ。飲み始めるなら今ね
――でも飲んじゃうと認めることになっちゃう
――認めてなんかないよ! 守るだけ!
――守る?
――そう! 自分の体を守るの! おじさんから守るの!
――そっか。そうだよね。来週おじさんのとこに行くんだったら……
「…………」
薬を口に入れる。
水でごくりと飲み込んだ。
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■二〇X一年四月三十日 土
週末。練習試合。
今日はスタメンから外された……
昨日から頭痛くて調子出なくて、試合は見学になった。
薬のせい。
全部おじさんのせい。
試合出たかったのに。
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■二〇X一年五月五日 木
ゴールデンウイーク最終日。
今日も部活。休みなし。
薬を読み始めて一週間。
体の調子は戻った。よかった。
おじさんのとこに行かなくちゃ……
でももうこんな時間……今から二時間なんて無理……
どうやって二時間空けるかずっと考えてて、やっぱり練習試合のあとが一番ごまかせる気がした。
そうだとすると、次は今度の土曜日。
おじさんにメッセージを書く。
――今日は二時間も時間取れません。今度の土曜日でもいいですか?
すぐに返信。
――だめ
――今日は本当に無理です。土曜日なら二時間空けられます。絶対行くので今日は許してください
――薬は飲んでる?
――はい
――毎日?
――はい
――わかった。土曜日でいいよ
――ありがとうございます!
――薬も土曜日までの分しか渡してないから絶対に来てね
――わかりました!
よかった……今日は行かなくてよくなった……
「……なんでお礼言わなくちゃいけないのよ!」
ちょっと腹立って、すぐに履歴を全部消した。
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■二〇X一年五月七日 土 ※三
朝起きて、もらった最後の薬を飲みこむ。
今日は練習試合の日。
「行ってきまぁす! 今日は遅くなるかも!」
「はぁい。頑張ってね!」
ママは部活のことはあまり分かってない。
練習試合の時間のこととか全然分かってない。
だから友達と遊んで帰ったりしてもバレたり怒られたりしない。
練習試合のあとなら、二時間くらい遅く帰ってもバレない。
ママ……ごめんね?
だますようなことしてごめんね?
それから……
たぶん……私……今日……
ママ……パパ……ごめんなさい……
◆
「サエっ!」
セッターからのボールを相手コートへ叩き込む!
「よぉしっ!」
「ナイスっ! サエっ!」
すっごく調子いい!
先週出られなかった分のリベンジ!
「いいぞっ、紀邑っ! よく動けてるぞっ!」
「はいっ!」
バレー、すっごく楽しい!
◆
試合が終わって、
反省会して、
友達や先輩や後輩とふざけあって、
今日は終わり。
また明日の朝は早起きして朝練。
大変だけど、充実した毎日。
「じゃあねぇ! バイバイ、サエっ!」
「うんっ! また明日ねっ!」
笑顔でバイバイ。
走って、角を曲がって、
止まって、ケータイを出す。
――今から行きます
すぐに『OK』のヘンなスタンプ。
「……」
行きたくない。
帰りたい。
ママ……パパ……
無意識におなかをさする。
重い足取りでおじさんの家に向かった。
◆
「い、いらっしゃい」
「…………」
部屋に入る。
ベッドが目に入る。
キュッと胸が苦しくなる。
思わず目を閉じる。
「は、はい、これ。ちゃんと飲んでね」
おじさんから薬を渡された。
リュックを降ろして薬をしまう。
この薬が……
私の守り神……
「ぬ、脱いで」
ドキッと心臓が縮んだ。
体が固まる。
焦点が合わなくなる。
のどが渇く。
「そ、そこに置いてるかご、使っていいよ」
動けない。
どうやって体を動かしたらいいかわからない。
帰りたい。
もう帰りたい。
「ぬ、脱がないの? しわになるよ? い、いいならベッドに座って」
スカーフをほどく。
手、震えてる。
着てるもの全部脱いで、
裸になって、
ベッドに座って、
小さくなって、体を隠した。
「……!」
おじさんが近づいてくる!
こっちに来る!
私、何も着てない……
どうしよう……どうしよう……
――ギッ
横に座った!
逃げなくちゃ!
体が動かない……
ぎゅっと自分の体を抱きしめる……
――ガシッ
おじさんが私の腕掴んだ!
「イヤっ! 怖いっ! 離してっ!」
力いっぱい振りほどく!
でも全然離れない! 離してくれない!
ベッドから立ち上がる!
おじさんの手、離れない!
引っ張られる!
ベッドに引き戻される!
すごい力!
ベッドに倒された!
――ギッ
おじさんがベッドに上がってきた!
起きなくちゃ! 逃げなくちゃ!
おじさんに両手を押さえ込まれる!
動けない! 全然動けないよ!
「イヤぁぁぁっ!」
首を振る!
足を上げて、おじさんに引っ掛けてはじき出す!
重い! 動かない!
おじさんの体重で、足まで押さえつけられた!
「あ……イヤ……」
目の前にはおじさんの顔……
両手を封じられて、両足も封じられて……
おじさんが私の上に……
馬乗りになって……
「さ、咲恵織ちゃん」
近い……
動けない……
「こ、今週あった話して」
「…………え?」
思わず、おじさんと目を合わせてしまった。
◆
「……今週の話?」
「そ、そう」
「……なんで?」
「き、聞きたいから。咲恵織ちゃんのこと、知りたいから」
「……今週……」
なにがあったっけ?
こんな状況で思い出せないよ……
えっと……
えっと……
「……薬を……飲んで……体調すっごく悪くなって……」
うなずくおじさん。
「……練習試合……バレーの……メンバー外されて……見学して……キャッ!」
おじさんが胸触った!
「イヤっ!」
「つ、続き。話続けて」
「……イヤ……メ……メンバー外されて……それから…イヤぁぁ!」
胸、揉まれてる。
おじさんはじっと見降ろしてる。
私の話を聞いている。
胸を揉みながら。
「……部活……頑張って……ひっく……調子……戻ってきて……ひっく……」
胸、揉まれてる。
胸、撫でられてる。
肩とか、腕とか、脇腹とか、おなかとか、
いろんなところ、撫でられてる。
「……今日……ひっく……さっき……ひっく……ゲーム出られて……ひっく……活躍できて……ヒッ!」
ふともも、撫でられた。
ギュッと股を閉じる。
ふとももの間に、手が入ってくる。
ギュッと股を閉じる。
――くちゅ
触られた!
「イヤぁぁぁっ!」
暴れる!
おじさんをどかしたい!
逃げたい!
動けない!
――くちゅ……くちゅ……くちゅ……
両手で顔を隠す。
見られたくない。
怖くて……悲しくて……
しゃっくりが出る。
――くちゅくちゅくちゅ……
手の動きが……早く……
「……ハァ……ハァ……フゥゥ……」
頭が……ぼーっとしてきた……
怖い……怖いよ……
――くちゅくちゅくちゅ……
「あっ! ……んっ……んんっ!」
――くちゅくちゅくちゅ……
「……あ! ……あっ! ……やっ! ……んっんんっ!」
――くちゅくちゅくちゅ……
な……なんか……ヘン……!
頭が……頭が……!
体が……体が……!
おじさんの肩をギュッと掴んで……
――くちゅくちゅくちゅ……
「……くぅぅぅっ! ……ぁっ! ……んっ……んんんんんんっ!」
全身が、ギュッとなった。
◆
体が……ビクっとする……
体が……動かない……
おじさんに頭を撫でられた……
気持ちよくて……目を閉じた……
――くちゅ
「ひゃうっ!? ま、待って……! まだ、体がおかしい……!」
――くちゅ
「んふっ!」
――くちゅくちゅくちゅ……
「あっ! ……や……あふっ! ……んんっ! ……ハァ……ハァ……!」
――くちゅくちゅくちゅ……
初めての刺激。
性的な刺激。
さっきよりも敏感になってて、
体が跳ねる。
――くちゅくちゅくちゅ……
あそこをいじられてる。
胸も揉まれてる。
頭とか、頬とか、腕とか、おなかとか、
いろんなところ撫でられてる。
――くちゅくちゅくちゅ……
唇に手が触れた。
唇舐められた。
口の中に舌を入れられた。
まともに考えられなくて全部受け入れてる。
――くちゅくちゅくちゅ……
「……んっふ! ……だ……ダメっ……! ……やめて! ……こわいっ! ……あっ……あっ……!」
――くちゅくちゅくちゅ……
体の奥底から何かが込み上げてくる。
なにこれ……こんなの、なんで私の中に……
ダメ。
これ、爆発させちゃダメ。
――くちゅくちゅくちゅ……
「……や……ぃゃっ……くっ……うっ……んっ……んんっ……いっ……やぁぁぁ…………っ!」
大爆発。
呼吸ができない。
体がピーンとなる。
怖くて、怖くて、
おじさんの体にしがみつく。
これが……
エッチなんだ……
◆
「……スゥゥ……ハァァァ……」
やっと息ができた。
「……ハァ……ハァ……」
呼吸を整える。
――くちゅ……くちゅ……
おじさんはゆっくりとあそこをイジってる。
頭は回ってないし、体は動かないし、声も出ない。
止める気力が全然ない。
それに……ゆっくりなら……ちょっと気持ちいい……
とにかく今は、息をしなくちゃ。
「さ、咲恵織ちゃん」
おじさんに呼ばれた。
頭回ってない。
――チュッ
キスされた。
さっきもされたかも。
何度もキスされてる。
キスの合間で空気を吸い込む。
――ぐいっ
両足を開かれた。
おじさんの顔が浮き上がった。
あそこを上下になぞってる。
頭回ってない。
――グ……
「ん」
――ググ……
何かが入ってこようとしてる。
大きなものが入ってこようとしてる。
ちょっと苦しい。
力が入る。
――ググ……
「……いっ……いたっ……」
――ググ……
これ……おじさんの……?
挿れようと……してるの……?
痛いよ……無理だよ……
シーツをギュッと掴む。
――ググ……
「……ふっ! ……ふぅぅ……」
――ググ……
入ってくる。
力を入れる。
おなかの奥が埋まっていく。
苦しい。
息ができない。
力を抜く。
異物の圧迫感で
涙が出てくる。
――グッ
奥まで入ってる。
おなかがいっぱいになってる。
苦しい……苦しいよぉ……
息を……息をしなくちゃ……
「ハァァァ……フゥゥゥ……スゥゥゥ……フゥゥゥ……」
止まってる。
奥で止まってる。
目を開けてみる。
おじさんが見降ろしてる。
「だ、大丈夫?」
首を横に振る。ちょっとだけ横に振る。
ポロポロと大粒の涙出てきた。
おなかの中埋まってる。
急に感情があふれてきた。
「……ひっく……ひどいよ……ぐすっ……こんなの……ひっく……」
涙止まらない。
おじさんの指が涙拭った。
もっともっと涙出てきた。
悲しくて……悲しくて……
「……ひっく……ひっく……」
挿れられたまま、
いっぱい泣いた。
◆
しばらくして、少し時間が経って、落ち着いてきた。
痛みはまだあるし、はっきりとした異物感もあるけど、息ができるくらいには落ち着いてきた。
「だ、大丈夫?」
首を横に振る。
全然大丈夫じゃない。
こんなの……
体も心もボロボロだよ……
――ズッ
「んぐっ!?」
おじさんが動いた!
挿れたものをゆっくり出そうとしてる!
――ズズッ
「んんっ! ……う……うごかない……で……」
――ズズズッ
動くとちょっと痛い。
さっきよりはマシだけどまだちょっと痛い。
入ってたものが出ていく感じ。
苦しい……また息の仕方忘れてる。
――ズッ
「……フッ! ……フゥ……ハァ……ハァ……」
もうすぐ全部出そう……なところで止まった。
息を……呼吸を整える。
手の中にはシーツのかたまり。
力いっぱい握って硬く硬くなってる。
――ググ……
「……ヤッ! ……んんんっ!」
また入ってくる。
ゆっくりと、押し広げながら入ってくる。
苦し……
痛みは……我慢できそう……
――ググ……
「……うっ……ハァ……んふっ……フゥ……」
上手に、力を抜いて、息を、しながら、
入ってくる、苦しい、力を、抜いて、
大丈夫、大丈夫、さっきよりは、大丈夫、
痛みも、あるけど、さっきよりは、まし、
――ググ……グッ
また奥まで入った。
おなかがいっぱい。
苦しい。
でも、大丈夫。
――ズルルッ……
「……ああぁぁっ!」
――グググッ……
「……んんんっ!……」
――ズルルッ……
「……はぁぁぁっ!」
――グググッ……
「……うぅぅぅっ!」
出たり、入ったり、
出たり、入ったり、
苦しい……苦しい……
息するのがやっと……
――ズルルッ……ニュググッ……ズルルッ……ニュググッ……
ああ……
助けて……
苦しい……
苦しいよ……
頬を撫でられた。
少しホッとした。
頭を撫でられた。
助けてほしくて、ギュッと抱き着いた。
――ズルルッ……ニュググッ……ズルルッ……ニュググッ……
「……あっ……やっ……ハァァ……んふっ!」
こすられてる。
体の中、こすられてる。
なんか……違う……
なんか……おかしい……
――ニュッ……グッ……ニュッ……グッ……
は、速い……
く、苦し……
でもなんか……
なんか……
――ニュッグ……ニュッグ……ニュッグ……ニュッグ……
あっ……
ああっ……
全身に……
響く……
「さ、咲恵織ちゃんっ!」
「……やっ! ……やっ! ……ハッ! ……ハッ!」
「咲恵織ちゃんっ! 咲恵織ちゃん!」
「……あっ! ……イヤッ……!」
「咲恵織ちゃんっ! 咲恵織ちゃん!」
「……くっ……うぅぅっ……!」
「さ……咲恵織ちゃんっっ! んほぉぉっ!」
「……んんんんっっっっ!」
なんか、
よくわからなくなった。
◆
「……んふっ……」
中に入ってたものが抜かれた。
でもまだなんか入ってる気がする。
シーツを握ってた手を緩める。
握力が全然残ってない。
「……んっ!」
あそこにヒヤっとした感触。
おじさんが私のあそこ拭いてる。
恥ずかしい……閉じたい……
だけど全身どこも動かせない。
体が重い。
おなかのとこずーんと痛い。
頭がボーっとする。
なにもかんがえたくない……
◆
「さ、咲恵織ちゃん」
誰かが呼んでる。
パパ……?
違う……?
誰……?
「さ、咲恵織ちゃん」
あれ。
私、寝てた?
なんだったっけ……
なんかおなかのとこが……
「あ……」
思い出した。
でも思い出したくなかった。
重い体をベッドから起こす。
くたくた……練習のあとでもこんなにはならないのに。
壁の時計……まだ二時間経ってない……よかった。
もう帰らなくちゃ。
でも帰れる気がしない。
こんなに力が抜けてたら歩けないかも。
「だ、大丈夫?」
おじさんとは目を合わさない。
「帰る」
「う、うん。シャワー浴びる?」
「いい」
「で、でも」
「いい」
深呼吸。
体に掛かってたタオルケットを取る。
「あ……」
ドキっとした。
おしりのところのシーツ……赤くなってる。
生理の時みたいになってる。
反射的に股間を触る。
濡れてる。
手を見る。
透明と赤と白のにごった粘液。
股間を見る。
思ったよりきれい。
拭いてくれたから……
「こっち見ないで!」
思わず声が出た。
おじさんは慌てて向こう向いた。
ベッドから降りる。
リュックと制服の入ったかごを抱える。
「おトイレどこ?」
「そ、そこを右」
トイレの前でリュックからポーチ取り出す。
ポーチとパンツを持ってトイレに入る。
トイレットペーパーで軽く拭く……大丈夫かな。
パンツにナプキンを付けて履く。
トイレから出てすぐに黒パンを履く。
それからブラを着けていそいそと制服を着た。
◆
「帰る」
「う、うん。気をつけて」
「うん」
「ま、また来週来て」
「うん」
「じゃ、じゃあ」
「うん」
おじさんの家を出た。
とぼとぼと歩く。
ぼーっとしてる。
なんか挟まってる感じがして、
まだズンと痛くて、
ヘンな歩き方になる。
一歩歩くたびにズンとして、
思い出したくないのに思い出す。
挿れられたこと……痛かったこと……入ってきたこと……苦しかったこと……
「……ファーストキス……」
奪われた。
汚された。
全部。
好きでもない人に。
「………………」
涙は出なかった。
ヘンな歩き方してるのが情けなかった。
◆
「ただいまぁ」
「おかえりなさい。おつかれさまぁ」
「うん」
「試合、どうだった?」
「んー、バッチリ?」
「さえちゃん、すごぉーい!」
「ニヒヒ。お風呂入るー」
「はぁい」
いつも通り。
知られたくないし、知らない方がいいと思った。
そんなのママが可哀想すぎると思った。
もしママが知ったらどうなるんだろ。
おじさんのことやっつけてくれるのかな……
重い体を引きずって、急ぐ。
早く体を洗い流したかった。
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※つづきはファンティアで更新中
※ ↓ これ、同じおじさんの前科の話です(裏設定です)
■少女監禁 キモデブおじさんとの暮らし