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ゆらめく

彼女のなめらかで陶器のような肌が暗闇の中でうっすらと、炎の灯で照らし出される。背中の溝から、腰、そして、2つの丸みに手をかける。

「もう引き返せない」

薪が爆ぜる音がした。

 

--------

「キャンプファイヤーの火って、ずっと見てしまうよね」

そうつぶやく浩史の無邪気な顔に明(あきら)は腹が立った。

浩史の隣に座る香織と明は今日初めて会った。浩史の女友達、ということになっているのだが、そういう時浩史が嘘をつくことを明はよく知っている。コテージに向かうために迎えに来た、浩史のロードスターに乗ってすぐに分かった。浩史が聞くはずのない韓国アイドルの曲。間違いなく香織の趣味であろう。しかし、浩史は絶対に自分からは言わないと確信していた。

 

このパターンに明は覚えがあった。今、明の隣に座っている陽子は、大学生のころ浩史のことが好きだったのだ。もともと明の友達であった陽子は、明の友達グループの中に混ざって遊んでいたが、その無邪気で奔放な性格の浩史を少なからず意識していた。浩史と陽子は時々友達として2人で遊ぶこともあった。ここが彼のずるいところで陽子の気持ちを知ってか知らずか、「男女の友情は存在する」という"定義"をするのである。そうして、異性の距離感ではなく、同性の距離感に勝手に詰めるのである。そして後になって皆が知るのだが、この時すでに浩史には彼女がいたのだ。

 

彼女がいるのに気づいたのは浩史とルームシェアをしていた明だった。ほぼ雀荘と化した浩史の部屋に落ちていた中身がない真四角の袋。このサイズは猫のおやつか、コンドーム以外に明は知らなかった。この手掛かりを発見する直前に、バイト先の後輩が浩史の部屋から帰るところに出くわしていた。最大限に配慮をした明からの取調べに浩史は素直に応じた。

「茶化されるのが嫌なんだよね。」

奔放なように見えて本当は実に慎重なのだ。男女の友情という言葉により釘を刺しつつ、周りに彼女ができたことを隠している。平和主義の明にとっては許されざる行為であった。明自身も同性として浩史の自由奔放なところが好きであったが、実はそれが見せかけの自由奔放であることに気づいた時、落胆したのだった。それは自分にない自由というのを求めていたからかもしれない。

 

だからこそ、今4人でキャンプファイヤーを囲んでいるこの空間で、香織が彼女であることを隠しつつ、無邪気を装っていることに無性に腹が立ったのだ。

 

ふと、横の陽子を見てみる。その横顔が、昔好きな人を見る横顔に見えたその刹那。明の心の奥底で火花が散った。浩史の笑い声がなかったら音が周りに聞こえたのではないかと思うぐらい、鋭い火花だった。そうして生まれた火種は、陽子の綺麗な顔立ちを見るたびに大きくなっていった。みるみるうちに育っていくその衝動に明は動揺を隠さなかった。それは幼子が火災報知器のボタンを見つけてしまった時のように、強く引き込まれて離れなかった。

振り払うように、明はかぶりをふった。

「どうしたの?」

陽子に話しかけられて明は陽子を直視してしまった。それがいけなかった。もはやその衝動は、"したい"から"せねばならない"に変わっていた。

 

「いや、油断した。夏とはいえさすがに寒いよね」

そういうと、陽子の大きな膝掛けを軽く引き寄せた。

陽子は笑いながら膝掛けを明の方にまで伸ばした。

「私も。さすがにTシャツにデニムは寒かった。」

ギリギリ肩が触れる程度のボディタッチ。これぐらいしてもお互い友達としていれる。その関係を構築していくのに、明は慎重に慎重に距離を詰めてきた。その均衡に爆薬を投げ込む覚悟が、突然できてしまったのである。

「昼間あれだけ激戦を繰り広げたからね」

浩史は感慨深げに頷く。

「明日も返り討ちにしてやるよ。」

明はおどけながら応えるものの、心の中はざわめき、蠢いた。

(そう、昼間のバドミントンだって、勝ったのはこの僕だ)

明は言い聞かせるように頭の中で繰り返す。

そして、ブランケットの中で、そっと自分の小指を、陽子の小指の上に重ねた。

 

一瞬、陽子の体に力が入ったように感じた。しかし、陽子はそのまま動かなかった。きっと陽子は"たまたま指が触れ合っただけ。これぐらい意識するほどのことでもない。"そんな風に思っているのだろう。そう明は分析して自分の中に落とし込んだ。

「明日は二本勝負にしよう。何で戦おうか。」

浩史は明日の予定を立てている。手際よく香織と分担している様が、より明の心を駆り立てた。

「来る時に鱒(ます)の掴み取りの看板があった気がする。これとか。」

明は右手に持っているスマホを左にいる陽子に見せた。陽子は無意識に身体を寄せる。その瞬間を見計らって明は重なった小指を、絡ませた。

陽子はさすがに驚いた様子だった。顔を上げて明の方を見る気配を感じた。

浩史と香織に目を配ると、まだ2人の世界に入っている。その間にゆっくりと陽子を見つめながら、口の端だけで微笑んでみせた。(うまく笑えているだろうか。)

陽子はしばらくの間、その明の表情について理解しようと務めているようだった。混乱の末、震える指を絡み返してきた。明は思わず嬉しさに更に強く指を絡ませてしまったが、陽子はそれに応えた。明は鱒の掴み取りを調べるふりをしながらも、何も頭に入ってこなかった。全神経は左手に吸い込まれていた。小指から、徐々に深く絡ませていき、手を擦り寄せ、手を握った。

 

「あ、一平が駅に着いたって。」

浩史の声に二人は急に現実に戻った。そうだった、後一人来るのを忘れていた。二人は身を離した。たった数cm離れただけなのに、すごく遠くに行ってしまったような気がした。

なんて事をしてたのだろう、という冷静さと同時に、それを上回る強い寂しさが押し寄せた。

浩史達が立ち上がった後、続けて陽子が立ちあがろうとした。思わず明は手を掴んでしまった。

「まだ身体が冷えちゃったからもうちょっと火にあたってようかな。」

「私も。」

明らかに怪しかったと思うが、おそらく香織は二人きりになりたかったのだろう。違和感が疑問になる前に二人は出発した。

 

車が遠のいていった後、陽子は力を抜いた。

「… もう、心臓が飛び出るかと思ったじゃん。」

口を尖らせていう陽子に、もう明は夢中だった。

明はもう片方の手を取り、正面から陽子に向かった。

「じゃあ、こうしたらもっとドキドキするんじゃない?」

そう言うと、ゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねた。

最初は触れるだけ。

1回… 2回…

その柔らかさ、潤い。止められなかった。少しずつ、溶け合うように唇の重なりは深くなっていった。自然と陽子は明の首に手を回し明は陽子の腰を抱き寄せた。二人は初めてキスをする高校生のように、夢中になってキスをした。とろけるような唇、しなやかな腰、触れている箇所全てが甘美で心地よかった。

息も絶えだえに陽子が呟く。

「明って… こういうこと… するんだね…」

「分からない… 陽子がどうしても… 欲しくなって…」

明は既に余裕がなくなり、不格好だが率直な言葉を紡いだ。意外な言葉だったのか、陽子は目を丸くして、一息ついた後、少しいじわるに微笑んで、明の膝の上に跨って座り、再び唇を重ねた。少し高くなった陽子の腰から更に下に指を這わせ、少し下から身体を引き寄せた。自然とその曲線に指が食い込み、陽子は小さく声を上げた。

(もっと声を聞きたい。)

そう思った明は腰から徐々に手を上に上げていくと、背中から前に手を回し、胸に手をそっと重ねた。

「嘘でしょ?」

この先があることを予想した陽子は、半ば笑いながらそう呟いた。冷静に考えればここはキャンプ場。周りには3軒のコテージに囲まれている。明も"正気ではない"と思った。でも、もう立ち止まれない。とっくに二人は正気ではないのだ。

「ダメ?」

そういいながら、唇を貪る。

「ううん、ダメじゃない」

そう、二人はこれで共犯になったのだ。

明はそのまま陽子を抱きかかえると、コテージから死角になるキッチンへと向かった。電気も消えて、暗闇の中で、二人の息遣いが響く。Tシャツを脱がせると、トップスから覗く彼女の谷間に、思わず唾を飲み込んだ。震えそうになる手を必死に誤魔化しながら、トップスの中に潜らせた。吸い付くようなくびれから、肋骨が触れた後、柔らかな乳房に到達した。明は包み込むように手を重ねると、ゆっくりと揉みしだいた。二度吐息をもらした後、恥ずかしさを打ち消すように陽子は激しくキスをした。徐々に激しく揉むにつれて、乳首が立つのを手の平で感じた。トップスを下からたくしあげようとしたのを悟った彼女は自分から脱ぎ去った。明が丹念にその乳首を舐めると、その度に押し殺すような声で嬌声をあげた。

「明ばかりずるい」

そう言って明のシャツを脱がせると、明の乳首を舐め始めた。暖かい彼女の舌、唇が触れるたび、明のものはどんどん硬くなった。デニムの上から彼女の秘部に手を当てると、身を捩りながら声を出した。

「ねぇ、ダメ… 」

そういいながら、明のものにも手を伸ばす。もう、明も限界なまでに大きくなっていた。二人はほぼ同時に下着の中にまで手を入れて、お互いを弄った。

「もう我慢できない。」

「うん、ちょうだい」

陽子は台所に手をつき、背中をこちらにみせた。

自分も全て脱ぎ去ってから、一気に脱がせた。

暗闇に浮かぶ彼女の美しい裸体を、明はずっと眺めていたかった。しかし、そういうわけにもいかない。背中の溝から、腰、そして、2つの丸みに手をかけると、明は自分のものを当てがい、入っていった。

「あぁっ」

彼女が一際高い声で喘ぐと、ゆっくりと自ら腰を揺らし始めた。明はそれに合わせて腰を打ちつける。

「いやっ、ダメっ」

声にならない声で囁くその状況は、より興奮を煽った。

「陽子の背中、とても綺麗だ」

気を抜くとすぐに迎えてしまいそうになりながらも、やっとのことでそれだけ伝える。

陽子は返事をするかわりに、その奥が締め付けた。

やがて、徐々に興奮が頂点を迎える兆しを迎える。

「もう無理かも」

「私も、もうイク」

明はスピードを決して変えずに、そのまま彼女をつき続けた。

「ダメダメダメ!」

弓なりに身体を反らせると、一気に彼女は彼を締め付けた。その動きで限界を迎えると、ギリギリのところで、自分のものを地面に向けて出し切った。

荒い息をゆっくり整えながら、二人はまたキスをした。

遠くで車の音がした。

「急ごう、戻らないと」

「本当に。急げ急げ。」

無邪気に着替える陽子を見ながら、明は思う。

(もう元には戻れない)

クリエイターのプロフィール
健◯店でのHRを目指す男。最近はもっぱらAIでの官能小説、AVの作成にネタを燃やす。
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