まさる

女は朝から落ち着かなかった。
今日は商品が配達されてくるのだ。
ピンポーン 呼び出し音が鳴り響く。落ち着かない女は一息ついてインターホンに出る。宅急便だ。
「白ネコムサシでーす。」
ロックを解除した。
部屋の中には大きめのダンボールが3つ運び込まれた。
「組み立てはどうしますか?」
組み立てサービスもやっているらしいが、女は断った。自分でもできそうだ。
大きなダンボールからパーツを取り出した。見てみると、胴体、腰、足、腕、頭のパーツに分かれていた。はめ込み式で簡単に完成した。大人の人間の大きさとなった。

見た目は、小学生が夏休みの工作で作ったようなロボットを想像して欲しい。ただ違うのが腰から下の下半身が人間のそれと見間違うほどの精巧さでできていた。
お腹の部分にはテンキーが設置されており、添付の説明書を見ながら番号を打ち込むと、入力値の命令を実行してくれる仕組みになっている。
テンキーの上には5cm×20cmの白いプレートが付いている。
女が説明書を読むと、そこにはロボットの名前をマジックで書く欄らしい。
女はしばらく考えたあと
「まさる」と書き込んだ。少し右上がりになったのも味があるというものだ。
充電をしながら夜を待った。
夜になり「まさる」のスイッチを入れた。
ウィィーーン、、起動した。
「タイイヲニユウリヨク」
説明書を見ながらテンキーを入力した。
1 + enter
「セイジヨウイ」
テンキーの上の電卓ほどの液晶に表示された。
「オオキサセンタク」
3 + enter
「オオキメ」
「カワハ?」
1 + enter
「ゼンムケ」
「ヨロシイデスカ?」
enter
体位や皮の剥け具合、大きさ、テクニック、体臭、袋の垂れ下がり具合等全てを入力することができ、ベストな下半身を設定できる優れものである。
ウィィーーン起動し始めた。
女はすでに入力中にかなり濡れていたようだ。
「まさる」が上に覆い被さると女の肩の横に手をついた。そして下半身を女MNKにあてがった。
そこからゆっくりと挿入を始める。
「ああぁぁん、、、いいぃい、、」
久しぶりの快楽に女はすぐに逝ってしまった。最後は「まさる」からコラーゲン溶液が女の子宮に注がれた。
2026年、時の総理大臣、小泉◯次郎が少子化対策を諦めた。少子化よりも快楽が経済を発展させるとボンクラ学者の説を推進し始めた。独身女の希望者にはロボットが無料で配布された。
反対派のフェミニストたちも激しい反対運動をしていたが、ロボットの快楽の前には無力だった。
いつしかロボットのある生活は日常の風景となった。
アフターパーツも充実してきた。
先が異常に大きなモノや二股に分かれてMNKとANRを同時攻めできるアダプター等、それらの業界は賑わった。◯次郎の政策は間違いではなかった。

女もその後、毎日使用していた。街中の女はロボットでプレーするのが忙しく、女が街を出歩くことがなくなった。ウーバー等のデリバリー業界は忙しくなった、。、、
それから5年、
ホストの名前だろうか「流星」「零士」
彼氏の名前だろうか「敏夫」「剛」
胸のプレートに名前が書かれたロボットの山がスクラップ置き場にあった。
その中には右上がりの文字で「まさる」と書いてあるロボットもあった。
やはり生身の人間には敵わないと人々は気がついたようだった。
街の明かりが消えていくたびにロボットの事はみんなの記憶から消えていった。
