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母乳教師 智春(分冊版2/5)

<第一章>

 

 

 「うーん、やっぱり、なんかあると面倒だから、奧の部屋にしませんか?」

 

 相田を先頭に、智春と江沢が続いて、相田邸の玄関を上がって、リビングからそのまま奥の方へと続く廊下へと足を進める。相田の提案は、もっともなことだったから、智春は表情が硬いながらも、うなづいてみせる。その表情を振り返って目におさめた相田は、智春がまだけっして自分たちへの警戒心をすっかり無くした訳ではないことを把握する。おそらく、自分のこれからしようとする行動の奇天烈さ及び、その行動を正当化しようとする教師としての誇りと、それでもなお生徒たちを信じられない自分への嫌悪感などで、内心は混乱しているのに違いがないと、相田は思う。だがそれでも、けしておどおどした様子を微塵も見せないのは、流石であった。背筋はきちんと伸び、胸に抱く我が子を時折あやすように揺さぶってみせる辺りは、まだまだ余裕を感じさせた。

 

 ……ふん、わかってるんだ、どうせ、口ではあんなこと言っても、本当にするってことになれば、訳の分からない御託を並べて、俺たちを感化させようとか考えてるに違いがないんだ……

 

 相田は胸の内で罵りながらも、自分の部屋へと智春を先導する。智春はその先に待ちかまえているのが、自分の誇りの全てをうち砕く場所だとも知らずに、黙ってついていった。

 

 「先生、ここ、僕の部屋なんですけど……。確か先生、去年の家庭訪問で入ったことありますよね?奥まってるから、どこからも見られたりしませんよ、大丈夫です」

 

 自分の部屋の前で相田は智春を振り返った。智春は相田の家をすっかり忘れていたという経緯があったから、殊更覚えていたことをアピールするように、深く頷き返し、そのまま相田の開けたドアをくぐった。

 

 「……こ、ここ?なに?……え?」

 

 智春は目の前の相田の部屋の状態に、目を見張った。むっと鼻を衝く、酒や煙草の臭いと、それに混じった獣めいた何かの臭い。床は足の踏み場もないほど、カップラーメンの容器や、スナック菓子の空き袋が放置されており、所々に、目を背けたくなるような、アダルト・ビデオやヌード・モデルの微笑んだ顔が表紙のいかがわしい雑誌が落ちている。

 智春は目を見張って、そのあまりの汚らわしさと不健康さに驚いたのと同時に、大きな危機感を感じて、咄嗟に振り返った。

 

 「ああ、すいません、この頃掃除して無くて……。驚いたでしょう?」

 

 智春の不安げな視線を真っ向から受け止めて、それを微笑む形でさらりと相田は受け流す。

 

 「酒や煙草があることが、気になりますか?あ、そうじゃないか、根本的に無茶苦茶汚いってことが問題ですよね」

 

 相田はそう言うと、唖然としたまま動きの止まってしまった智春を後目に、江沢を誘ってとにかく腰を下ろす場所を作ろうと、ゴミを隅の方へと片づけ始めた。

 

 「あ、先生はベットの上にでも腰掛けていて下さい。もう少し待って下さいね」

 

 あくまでも、かつて自分が教えていたときの様な朗らかな口調の相田と、それに対する部屋から感じられる毒々しさとのギャップに、智春は先程の提案を早くも後悔しはじめている。だが、自分から提案したのだという、強い自負心だけがかろうじて、この汚らしく淫らな印象を与える空間から逃げ出すことを押しとどめていた。

 

 「先生、どうぞ」

 

 相田に呼ばれて、智春は漸く部屋の中央に、円状の空間が出来たのを確認した。そこには、小さいクッションが置かれている。

 

 「先生、この部屋を見て、僕らに失望しましたか?でも、先生をレイプしようと思いこむくらいですから、こんな不摂生で歪んだ生活を、僕らはだらだら毎日やってたんです。この部屋で先生に授乳してもらうのは、この部屋みたいな生活をもうしないようにしようっていう、けじめをつけるっていうのも、あるんですよ……ダメですか?」

 

 智春の嫌悪感たっぷりの表情を見遣りながら、相田が尋ねると、智春は小さくかぶりを振る。

 

 「いいえ、先生、ここを見て、あなた達を追い込んでしまった自分が非常に情けなくなったわ……。だから、ここで、いい。ここで、しましょう……。でも、祐太にはこの部屋は、ちょっと……」

 

 「あ、そうですか。そうだなぁ、ベビー・ベットが確か、ここに……」

 

 智春の言葉を受けて、相田は部屋の押入を開けて、顔を突っ込むと、古ぼけたベビーベットを引っぱり出した。押入の中は部屋の惨状ほど整理されていないわけではないらしく、相田の行動は比較的素早くなされた。

 

 「これにお子さんを入れて……そうですね、隣の部屋は父の書斎なんですけど、そこなら片づいているし、何かあってもすぐに駆けつけられるし、そこに置こうかと思うんですけど、どうです?」

 

 智春は他にしようもないので、相田の申し出を受け入れた。そのままベビー・ベットに洗い晒しのタオルを敷いて我が子を寝かせると、書斎へと運ぶ。書斎のドアは、何か異変が起きた場合のことを考えて半開きにしておかれた。

 全ての「授乳」へ至る障害を取り除いた二人の悪童は、智春を挟むようにして、相田の部屋の床に腰を下ろした。

「じゃあ、誰からにする?」

 

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クリエイターのプロフィール
母乳小説家。 物心ついたころから性欲があり母乳に魅了された半生を創作活動にぶつける拙い文章書き。
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