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オイルショック

昨今の狂乱物価、とりわけ世界的なオイル不足の真の原因を知る者は少ない。テレビの向こうで賢しらな顔をした識者どもは「イランを巡る中東情勢の悪化が……」などと尤もらしい理屈を捏ね回しているが、ちゃんちゃらおかしい。阿呆め、何も分かっておらん。諸悪の根源は、古都の裏路地を中心に爆発的流行を見せたメンズエステ、とりわけ大量のオイルを消費する「濃厚密着施術」にあるのだ。

 

四条河原町の喧騒から少し離れた雑居ビルの一室。私の行きつけである優良店「ゴッドのエステ」にて、私は至福の時を過ごしていた。お気に入りのセラピスト、ゆうかちゃんの豊満なる双丘——いや、もはやそれは神が創り賜うた奇跡の巨乳と呼ぶべきか——が、私の背中にぴたりと押し当てられる。

 

彼女の四肢と規格外の双丘による、逃げ場のない圧倒的なる密着。芳醇なオイルの香りが狭い個室に充満し、滑らかな素肌が私の全身をヌルヌルと這い回る。私が仰向けになれば、その重力に逆らうような果実を惜しげもなく押し付けながら私の上にどっしりと乗りかかってくるではないか。彼女の甘い吐息が耳朶をくすぐるたび、我が股間は天を衝く勢いで屹立していく。嗚呼、極楽浄土はここにあったか。

 

しかし、至福の絶頂でゆうかちゃんはふいに動きを止め、ぽろぽろと涙をこぼした。

「お兄さん……ごめんなさい。オイルが全然手に入らなくて、当店は今月で閉店なの」

なんと。聞けば、「ジタンヌキナッシー」なる悪徳エステ集団が、オイル不足の騒ぎに乗じて市中に出回るマッサージオイルを根こそぎ買い占めているというではないか。己の欲望を満たすためだけに市場を混乱に陥れるとは、言語道断の腐れ外道である。

 

「ゆうかちゃん、心配はいらない。私が必ずやオイルを取り戻してみせよう」

私は愛するゴッドのエステを守るべく、木屋町の奥深くにあるジタンヌキナッシーの総本山へ単身カチコミをかけた。しかし、多勢に無勢。無数の屈強な黒服どもに取り囲まれ、私はあっけなく捕縛されてしまった。

 

地下の薄暗い拷問部屋へ連行された私を待っていたのは、身の毛もよだつ地獄であった。私は無理やりガサガサのブリーフ型紙パンツを穿かされた。そして始まったのは、密着の一切ない、ただ乾燥した指先で肌の表面をペタペタ、パサパサと触れるだけの無味乾燥なマッサージであった。何たる屈辱。潤いなき摩擦が、私のデリケートな精神をゴリゴリと削っていく。エステティシャンの手はカサカサであり、私の肌はひび割れんばかりだ。濃厚密着をこよなく愛する私の心は、この残酷極まりない拷問によって音を立てて崩壊しかかっていた。

 

(もう駄目だ……私のメンズエステ人生もここまでか……)

薄れゆく意識の中、ふと脳裏に浮かんだのは、ゆうかちゃんのあの奇跡の巨乳であった。カエル足のキワキワ施術、4TBの逃れられぬ密着感、、仰向けになった私の上に乗り、たっぷりのオイルと共にのしかかってきたあの至福の重み。

 

「おおおおおおおっ!」

己の内に眠る阿呆の血が、マグマの如く煮え滾った。こんなふざけた紙パンツなど、私の純粋なる情熱を抑え込めるはずもない。

「破亜ッ!」

裂帛の気合いと共に、限界まで膨張しきった私の「剛直なる大天狗」が、忌まわしきブリーフ型紙パンツを木っ端微塵に粉砕した。それはもはや、一条の巨大な丸太であった。神聖なるオイルと巨乳の記憶によって極限まで研ぎ澄まされた私の息子は、鋼の如き硬度と大蛇の如きしなやかさを併せ持っていた。

 

「喰らえ! 愛とオイルの鉄槌を!」

私は荒ぶる大天狗を猛然と振り回し、襲い来る悪徳セラピストや黒服どもを次々と張り倒していった。ペチィィィン! という快音と共に、ジタンヌキナッシーの幹部どもは泡を吹いて倒れ伏した。圧倒的なる男の力、ここに極まれり。

 

組織を壊滅させた私は、地下の隠し倉庫にうず高く積まれた数千リットルもの最高級オイルを奪還した。私はそれをトラックに積み込み、深夜の京都の空へ向けてばら撒いた。鴨川の川面を黄金の雨が照らし出し、オイルは市中の名もなき優良店へと行き渡っていったのである。

 

ゴッドのエステへと凱旋した私を、ゆうかちゃんは熱い涙で出迎えてくれた。

「私さん……本当にありがとう。あなたの雄姿、一生忘れないわ」

彼女はたっぷりのオイルをその巨乳に塗りたくり、私を秘密の奥座敷へと導いた。そこから先は、もはやメンズエステのメニュー表には存在しない、禁断のHRであった。私たちはツルツルと滑り合う肉体を極限まで密着させ、互いの熱を貪り合った。もはや言葉は不要であった。溢れんばかりのオイルに塗れながら、私とゆうかちゃんは夜のしじまに溶け合い、真のゴッドのエステを体現しつつ、彼方へと旅立ったのである。

かくして世界のオイル不足は解消され、私は極上の快楽を手に入れた。これにて大団円――。

 

 

数週間後。再びゴッドのエステを訪れた私は、ゆうかちゃんの口から信じられない言葉を聞くことになる。

「お兄さん……ごめんなさい。今度は、メンエス特有のあの『茶色いバスタオル』が世界中から買い占められちゃって……当店、来週で閉店なの」

 

私は天を仰いだ。愚かなる人類よ。己の欲望の尽きることはないというのか。あのペラペラの、しかし独特の安心感をもたらす茶色いバスタオルなきメンエスなど、クリープを入れないコーヒーのようなものではないか。

 

しかし、私に絶望している暇はない。愛するゆうかちゃんの巨乳が、そして至高の密着が私を呼んでいるのだ。

「やれやれ……」

私は小さくため息をつき、再びゆっくりと立ち上がった。次なる戦いの幕が、静かに切って落とされたのである。

クリエイターのプロフィール
健全店エロやメンエスが好きです。 実体験しか記事にしません。
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